なにわのアルゴ座

星見が好きな大阪のおっちゃんのブログです

バーダー 43mmの謎をメーカーに聞く

バーダーハイペリオンズームの見口のネジが何故M42ネジじゃないのか、釈然としなかったことは先に書きました。やはり消費者からすれば廉価ズームのようにM42ネジが出てきてくれた方が100倍ありがたいと思うのです。オマエは撮影しねーじゃねーか、と言われれば確かに「その通り!」なんですが、使える状態にあるかどうか、ってのはいつでもその必要が出たときにすぐに対処できる、という精神的な安定面があります。

(で、まあお察しの通りそれを使う必要が出たときなど、あんまし無いのですけどー)

 

このあたり、バーダーカスタマーにに質問してみました。

 

問:「M42の方が何かと便利だと僕は思うのだが、M42ではなくわざわざM43にして僕が思いつく以外にはるかに大きなメリットが他にあるのでしょうか?教えてください」

という内容で質問すると、ほどなく回答がきた。真面目なメーカーである。

 

回答:「We (and many other eyepiece producers) established the M43 thread as our standard thread to have freedom on lens design.

我々(そして他の多くのアイピースプロデューサー)は、レンズ設計上の自由度を得るための標準ネジ経としてM43を確立しました。

 

For example our Morpheus eyepieces have such large lenses, that a T-2 thread simply would have been impossible without reducing the lenses.

たとえば、モーフィアスの接眼レンズには、レンズを減らさずにT-2を使うことは不可能であったような大きなレンズがあります。」

 

以上。 え?以上? ということは目レンズ経がでかかったから1mm増したんだよ。ってことでしょうか。

 

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モーフィアス...このアイピースですね、でもあれってそんなに手榴弾みたいだったけ...?と画像検索してみるとロシアのどなたかの記事に見口が載っていた。写真はそこから勝手ですが頂戴しました。

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うわっ、、なんだこれ?フィルターをのっけてあるのかな?!

と思ってしまいましたよ(笑)すごい、これがモーフィアスのデフォルトなんでしょうか。ギッリギリまですごくミッチミチじゃないですか!これほどだとさすがに経は1mmでも大きければ大きいほど造る側としては良いでしょうね。

ただ、ここまで見口側のレンズが大きくない目レンズのハイペリオンズームMK4は、そんなに43mmに固執しないでも特別にでもいいので42mmでやりゃぁよくね?というそもそもの僕の素朴な疑問を解決する明確な回答ではありませんでした。天文分野にかぎらず海外メーカーへの質問への回答はわりとこういう、なんだかわかったようになったけど結局解決しなかった、ということがけっこう多いです。私の英語文法能力にもよるかもしれませんが。

簡単に言えば、まぁ「大人の事情」なのかもしれないですね。42/43アダプターの売上もズームなりアイピース買ったほとんどの人がとりあえずひとつは求めるでしょうからトータルでバカにならない売上でしょうし、むざむざそれを捨てるようなアホな改善はメーカーがしないか。

そういえばペンタックスのXWも43mmですね、43という数値に計り知れないなにかがあるのかもしれません。

 

 

 

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アイピース見口にTネジがあると(M43でも変換アダプターで)こんな風にTマウントに直接ぶち込むことが可能になります。初心者を虜にさせるほど大いなるアピールポイントとなって、当初はこれができるということがなんだかすごい感じがして嬉しくてしょうがなかったほどです。月などをモチーフに、無駄で使い道の無いデータを無意味に量産していました。しかもRAWとかで。

 

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ダイレクト装着ではただ付きますよ、というだけなので、本来の拡大撮影という意味ではこの間に延長筒を入れないといけません。必要光路の計算式もありますがライブビューで実画像をブーストして現物確認できる為に計算はしたことがありません。

 

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ですがそうしてみると全長がこんなに伸びてしまいます。手持ちの望遠鏡が金属銅鏡で接眼部も金属製でしっかりして、更に架台や脚もガッチリと重量があればこれでもまぁ全然大丈夫でしょう。しかし初心者が先ず一番に買う望遠鏡でそんなゴツいものはほとんどありません。というか、もし初心者でそんなしっかりした長きに渡って使える機器を購入されている方がいれば、本当に尊敬します。これがキチンとした拡大撮影ADだったとしても、更にゴツいので接眼部に加わる総重量というのはもっと増えます。

 現実としてここまで伸ばしてしまうと、もう撮影どころじゃありません(笑)。エンド部に重しのごとくのカメラボディを足した重量で望遠鏡のバランズが極端に崩れてしまいます。たとえ最軽量級のKISSボディをチョイスしてもそれでも500gが延長されたアイピースの先に載っかり、超リアヘビーな望遠鏡となります。初心者向けの望遠鏡でこれをしっかりと支えることができる望遠鏡は少ないはずです。

ライブビューの画面で止まらないバネのようにビョンビョン動き回る星にピントを合わせるのはかなりの困難を極めます。しかし最初はそれでも嬉しくてしょうがないのです。ですが、じきにイヤになって撮影もしなくなります。苦労して一眼レフで撮影したとしても、誰かに自慢げに見せたくなるようなそんな結果になることはほぼ皆無というのもわかってきます。同時にブログなどでUPされているキレイな写真は、相当な鍛錬のもとに生まれてきた結果なのだなーと感心することとなります。

観測場所や使用機材で印象や使い勝手は激変しますから、全てがそうだとは限りませんが、大阪のど真ん中で撮影しようと甘い考えをしていたことがそもそも大間違いだったということは確かです。

記録や記念としての撮影はコンデジスマホでコリメートで十分だなぁと今はそう思っていますが、こういうチャレンジは経験として必要だと思います。それを自分で経験していないと、解説本を読んでも、誰かのHPやブログ記事を読んでも、意味の本質がわかんないですからね。