なにわのアルゴ座

星見が好きな大阪のおっちゃんのブログです

野辺山博士は居なかった野辺山天文台

短いながらもまとまった夏の休みがとれたので家族で河口湖方面に行ってきました。もちろん夜はいっぱい星を見るぞと望遠鏡も積んでいったのですが、全行程で曇り/雨の天気で星を拝めるどころか富士山すら見えない状態で残念至極でありました。

そんな状態でしたので真の意味での一般的な観光家族旅行を楽しむことに全力を注ぐのですが、一箇所だけ是非行ってみたいところがありました。帰りに清里駅に寄って「釜飯」を約束するということで合意を得たというのは、世間ではよくある家庭内ディールだと思います。

f:id:caplicon:20170801142611j:plain

トラクター最優先の農道を走り、C56で有名な小海線の線路沿いに走ると、こんな光景が見えてきます。そうです、天文の聖地のひとつ野辺山天文台を見学したかったのです。

 

f:id:caplicon:20170809131406j:plain

ここには個人的にはどストライクな風体の野辺山先生がいらっしゃるはずなのですが、御多忙なのでしょう、現地でお目にかかることはできませんでした。パンフレットでそのお姿とご説明を賜りながら見学を進めていきます。(キーホルダーやストラップの類でも無いかと期待しましたが、それも無いみたいです。ニッチなヒット商品になると思うのですが...)

 

f:id:caplicon:20170801142556j:plain

広大な敷地にパラボラがドーン!ドーン!と圧巻の光景が広がります。ただ、ここにあるのは見えない電波をキャッチする望遠鏡ですので、ドームがあって見上げるような光学望遠鏡で度肝を抜かれるという一般的に天文台をイメージする一般人(家族)は拍子抜けの様子でした。例えば名称としては野辺山銀河宇宙基地や科学特捜隊本部とかの方がもしかしたらピンときたかもしれません。

 

奥にあるのが目玉の45m電波望遠鏡ですが、これに関しては行ってきた画像だとか(私も撮りましたが)さんざんアップされてるでしょうし、電波のうんぬんや機能詳細あーだこーだは野辺山天文台HPなどで完璧に書かれていますので、一般向けにわかりやすい図をつくってみました。

f:id:caplicon:20170809034354j:plain

のべやま45は高さ50mで重さは700トンもあります。でかいんですよ、とにかく。近くに行けばもう24mmなんかでは3分割しないと入りきらないほどでかかったです。

入り口でもらったパンフ冊子のイラストが右のもので、それに比較対象として記憶を巡らせてみて近いものを入れてみました。平成の若者にはわからないかもしれませんが、超電磁ロボット コンバトラーVが大きさ、重さ的にかなり近似です。子供の頃オンタイムで主題歌を歌っていた時には、「たいじゅう550トンって想像もつかなくすげーなー」と思っていましたが、のべやま45の方が重いのには驚かされます。

候補次点で身長的には初代ゴジラがちょうど50mでピッタリなのですが、初代ゴジラは体重が更に破壊的で20000トンもありますので比較対象から漏れてしまいました。ゴジラはその後作品ごとに身長も体重も増減を繰り返してしまい一貫性がなく、空想とはいえ少々リアリティに欠けます。

ちなみに昭和の国民的空想兵器といえば実際にお台場にも出現した初代ガンダムRX78-2。こちらは身長18m、重さは43トンですので両者と比べるとはるかに子供みたいなものになります。しかしガンダムは存在そのものがほぼ確実に兵器ですので実際に戦うとコンバトラーVといい勝負をするかもしれません。のべやま45mの攻撃力は当然ゼロですので、戦闘が始まったらイの一番にクチュン...と破壊されてしまうでしょう(せめて逆使用で破壊地獄電波でも発射でき、一撃で致命傷を負わすことができればまだ勝機はありますが、もしそれが可能であってもオペレーターは戦闘訓練を受けていないので、1発目はまさかの奇襲で効果が期待できますが、2発目の照準を合わせている間に呆気なくやられてしまうかもしれません)。

 ちょっと遊びで比較してみたのですが、我らが初代ガンダムの小ささが圧倒的で驚いてしまいました。お台場で見たときは本当に大きくて感動したのですが。。。(コンバトラーVがでかすぎとも言えます)

 

f:id:caplicon:20170801141432j:plain

さて空想科学は果てしなく広がってしまいますので現実に戻りましょう。もうお役目が終わった10m望遠鏡は戦い終わった白いモビルスーツのような具合で、何か哀愁を感じさせます。ボロ具合が妙にカッコイイですねぇ。駆動音などはどんな音がしていたのでしょうか。というか、何故男子はモーター音ですら良い音と捉えることができるのでしょうね。今はもうサーキットでも規制がかかってしまい聞くことが難しくなりましたが高度にチューニングされたレシプロエンジンの排気音も同様です。

 

f:id:caplicon:20170801143153j:plain

太陽観測ヘリオグラフ干渉計の整列はストームトルーパーのようで壮観でした。また昭和になりますが、アンドロ軍団の監視ロボにも激似でたまりません。ヘリオグラフは84基設置されています。この数というのが絶妙な計算からくるのですから、頭の良い人が考えることは具現化しても美しいもんだなぁと感心しまくります。

そうそう気軽に何度も訪れることができない場所ですので端から端まで歩き説明パネルも全て熟読します。ですので他の見学者さんよりも倍以上滞在時間が長くなります。太陽観測は昔はSUNフィルターや穴の空いたプリズムなどで長時間観測でケルナーを溶かしたりw、昭和の太陽観測というのはけっこうアグレッシブでした。今じゃメーカーへの訴訟だなんだで大変なお祭り騒ぎになってしまうでしょうね。

昔の機器やフィルターでいろいろやっても、コロナやプロミネンスは個人では皆既日食時でないと観測できませんでしたが、今では海外製の太陽望遠鏡で可能となっているようです、覗いてみたいですね。2017/08/22にはアメリカでかなり条件の良い皆既日食があります、WEBやYOUTUBEでのUPロードが楽しみです。

 

 

f:id:caplicon:20170807121714j:plain

中継の設備でしょうか、その蓋というかカバーに....寸胴が使われていました(笑)

サイズ的に、具合的にちょうど良かったのでしょうか。他の場所にも同様のものがあり、そこにも同じ寸胴が使われていたので、備品リストに「鍋」ってちゃんと入っているのでしょうね。ちょっと吹き出してしまいました。

 

 

カール・ジャンスキーが天体の電波を捉えたのが1931年。その後グロート・レーバーが電波望遠鏡(なんと自作!)で強い電波源があるのを観測して論文として発表したそうですが、当時の学会では信憑性に疑問をもったりしたそうです。世の常ですね、地位や権力を持つ人は天文に限らずほとんどの分野で名前なんか聞いたこと無い下の意見なんか聞いちゃくれないですよね。自分が地軸という人はそれこそ星の数ほど地上に居ます。で、かのチャンドラセカールが事実検証を行ってようやく認められるようになったそうです。影響力のある人が「OK」と言ったら今まで嫌がらせに近い巨大な人間の壁が邪魔して通らなかった案件や提案も、何もなかったかのようにスルスルと進むようになったりするのも、これまた世界の七不思議よりも不思議などこにでもあることと同じです。

で、そのジャンスキーやレーバーの観測電波の正体は、結局ブラックホールだったのですが、背景放射の時のように「それ、もしかしてブラックホールを証明することになるんじゃないか!」と地球規模でドッカーン!となってもおかしくないのに、おもいつかなかったのかわかんなかったのか、あんまり誰もわーわー言わなかったそうで。。。 

ブラックホールを見逃し三振した当時の天文学者は肩書を捨てたくなるほど、外を歩けないほど恥ずかしく思ったんじゃないかと想像してしまいます。