なにわのアルゴ座

星見が好きな大阪のおっちゃんのブログです

スカイメモSの良いところ

さて、スカイメモSの内部の印象の記事を書いたときに少々ディスりまくった感が強かったかもしれぬ、というわけではありませんが、今回は使ってみての良い面を紹介しようと思います。

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本体は非常にコンパクトでカメラバッグにポンと入るくらいの大きさは大変ありがたいことです。何より単3電池4本で可動してしまうスタンドアローンタイプというのは他に無いアドバンテージだと感じます(極軸望遠鏡標準搭載で)。円形ダイアルのスイッチを星のマークに回せばもう動き始めています。これほど簡単明瞭で間違う要素の少ない機器というのは高評価せねばいけないでしょう。

 

たとえば精度や搭載機能がものすごく高いものであっても毎回使う度に現在時刻や座標を入力して...ようやくスタート、というような手間が一切かかりません(AVXなどがそうなのですがそれでダメだという意味ではありません)。

まぁ、簡単な分、精度も高くはならない、ということなのですが。

このダイアル、クリック感が薄く非常にユルユルで軽く接触するだけで動いてしまうダメなタイプのダイアルです、どうしてこういうダメなダイアル状態でGOサインを出すのか、造った人や携わった人のモノづくり精神を疑ってしまう箇所です。

恒星観測の他に太陽、お月さんとマークがわかりやすく、ダイアルデザインなども良いだけに残念です。使ったことはありませんが、星追尾以外のサブ的なタイムラプス用途ように星追尾を上回る数のダイアルセレクター位置が設けられているのは、使わない側からするとさほどどうでも良いことですが、無いよりは良いのかもしれません。

反対面にはMINI-USB端子もあり、ここからモバイルバッテリーなどで電源供給することができます。ただしスタンドアローンで使えるというのが大きなメリットのこの個体でわざわざUSB電源供給をセレクトするというのは本末転倒かと。よほどの寒冷地か緊急時でないと意味が無いような気がしますが、電源選択が選べるということではとても良い面かもしれません。ちなみに単3電池は「ええ?まだ使えるの?」と、呆れるほど長く使えてしまいます。消費電力が強烈に小さいのでしょうね。

また、ファームウェアのUPデートもPCとつないでUSB端子で行います。

初期型では使い物にならなかったタイプラプスの浅い首振り角度も、新しいファームで現行と同じく180度首を振るようになります。もしかして他のUP要素も入っているかと自分にとって意味もなくUPしてしまったのは小市民だなぁと自覚しています。

 

 

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オプションでL字型のアリガタマウントとバランスウェイトを加えると、簡易赤道儀として使用できます。ただしケンコーがつけた定価が非常に高く、L字ブラケットはまぁしょうがないとしても、ウェイトと軸がいけません。こんなものに平気で1万円などとボッタクリに近い金額を要求したりします。本家ではだいたい39ドルくらいの代物です。で、本体+これらオプションを全部揃えるとちょっとした金額になり、ケンコーが代理店として市場に出す際の値段設定のいい加減さがものすごく感じる点が強すぎて、あまりお勧めできないなぁと思ってしまうのです。僕は買いませんでしたが微動マウントというのもあります(これまた1万円、オプションの単価が全て1万円ってすごくやっつけ感が強すぎです)。マウントは金属製のしっかりしたものであればそれはまぁそれくらいはするよなぁと納得できて良いのですが、どうもそんなものではなさそうなので見送りました。金額に相当する納得が獲れないものはあまり買っても不満となるので、そういうのは結果メーカーへの不審、不満となります。ケンコーからすると、うちが造ったものじゃないし...ということでしょうが、想定ユーザー層が根っからの天体人じゃない写真畑からくる人も多いのに、誠実さに欠けるケンコーらしいといえば確かにケンコーだな、という売り方だと色んな意味で感心してしまいます。昔からめちゃくちゃ良いものを見つけてきて売ったり、ゴミかと思うものを売り続けたり、ポリシーとしてわけのわからない会社というのがブレない珍しい会社です。

 

さて、ほぼ全装備したスカイメモSは軽量なアクロマートの初心者向け鏡筒であればほとんど搭載できるでしょう(ただしフォーカス後はどの鏡筒もブレます)。シュミカセのC6は自重が完全観測状態で約4kgを超えますのでマウントやウェイトを含めてアウトっぽい積載ですが、うまくやれば観測使用できます。

ただ、本格的な赤道儀のようにカチっとした感は全くありません。高倍率ではビヨヨヨヨーンと振れますしイライラくることも多いです。良質な赤道儀で毎回観望されてる人からすると捨てたくなるようなダメダメ状態なんだろうなと思いますが、反面、設置や撤収の簡単さというのはピカイチです。こういう気軽さという点は稼働率が非常にUPするとても大きな要因になるのだなぁと自分で感心するほどメンタル面に影響があります。あ、今日もちょっと見てみようかなーと思わせてくれます。

ある程度のいい加減でも気楽に星見ができたら嬉しいよーという気性の人には向いていると思います。僕がその筆頭でしょう。

 写真ではC6の重さではウェイトは足りずに、昔の小型赤道儀のウェイトを使ってバランスしています。なので実際にギリギリの5キロくらいで使用を想定しているのであれば、スカイメモSの純正オプションウェイトでは足りません。

 

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せっかく極軸望遠鏡がついているのに、西向きのベランダからはあとちょっと足りずに北極星にアクセスできません。ですのでおおよその北極星の向きに設置し、あとは雲台を34-35度付近に合わせます。写真中央に何やら字が書いてある四角い面がありますが、これが電池室の蓋です。ここにスマホを密着させて水準器アプリで経度を合わせ、同時に左右の傾きを0度に合わせるとだいたいの向きになります。あとは星を観測しながらあまりにもずれていくようであれば微調整をしますが、眼視観測の場合にはそれほどムキになって極軸を追い込むことはありません。もともといい加減な機材ですので、気楽な気持で接するのが全てにおいて良い結果となります。

ただしいい加減といっても、北極星が見える環境であれば、完全積載した状態でしっかりと水平をとって極軸を合わせをすると、長時間観測していてもほとんどずれることはありません。あの(ひどい)内部の構造でもこれくらいの精度が出るんだなぁと感心すらしてしまうほどです。なのでそこそこの中望遠であれば撮影もけっこうこなしてしまうと思われます。ただやはり、スカイメモSに過度な期待を抱くのは裏切られることの方が多いと思いますのでそこそこで付き合っていくのが良いでしょう。

僕は撮影をあまりしません。大阪のど真ん中ではブログ記事で見かけるような綺麗な星の写真など、全然良い結果になった試しがないからです。僕が下手くそだからというのも多分にありますが、撮影よりも今見える状態をずっと見ていたいという、そういう方向に変わってきました。(とはいえ見える星も非常に限られているのですが...)ただ、たまに山に星を見に出かけたときなどには、あまりの星の多さと空の綺麗さに、こういう綺麗なところなら自然と写真を撮ってみたくなるよなぁ...と思ってしまいます。

 

スカイメモSとは全く関係ありませんが、ベランダ星見に大事なのは蚊取り線香と殺虫スプレーです。望遠鏡を機嫌よく覗いて宇宙の神秘に浸っている最中、耳元で嫌なあの音が聞こえてくると一気にサーチ&デストロイモードに切り替わってしまい気持が疲れます。昔は6階以上だと網戸要らないからいいね、などと言っていましたし確かに蚊などは高層階では見かけませんでしたが、今や10階以上でも蚊はやってくるようになったようです。色んな意味で虫も強く変化、進化しているのでしょうね。