なにわのアルゴ座

星見が好きな大阪のおっちゃんのブログです

超狭ベランダでの惑星観望 楽な姿勢の大事さ スカイメモS

サービスバルコニーという少々恥ずかしくなるようなネーミングが正式名らしいですが、てっとり早く言えば「西向きの狭いベランダ」。住居としての用途はエアコン室外機とガス湯沸かし器の置き場。ここが我が家では惑星観測所となります。理由はいたって単純明快、物干しとして使用する広いメインベランダは北向きなので惑星観望はできず、この小さいスペースからだとなんとか惑星の沈んでいく姿が眺められるという具合です。スカイメモSはここにほぼ常駐しています。(もちろん見終わったら撤収します)

 

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正式な使い方かどうかはわからないしセオリーそのものを知りませんが、こういう設置をしています。写真機材はそこそこ豊富にありますので、まずは手持ちで使えるものは流用してみるというエコロジカルな発想から、ある程度の試行錯誤の末の結果でありますから、これが他の誰かに適しているか、セオリー通りなのかイレギュラーなのかどうかなどは全く計り知れません。

先に脚は初心者用屈折セットの経緯台にスカイメモSを載せて使ってみました。経緯台は微動装置が付いているので初期設定の際に非常に便利なのですが、とにかく何をするにも細かく揺れるのが難点で、100倍以上となるとバネを弾いたかのごとくフォーカシングの後ですら数秒待たないとそのフォーカスが適正であったかどうかも確認できませんでした。

手持ちの写真三脚の中からあれこれととっかえひっかえして試してみた結果、スリックの大型三脚プロNが非常に頑丈でハスキー雲台もそこそこ適していることが判明したのでこの組み合わせで使っています。昔から使っているのでボロボロですが一般写真用としてはこれでブレるなら諦めろ、というくらい誰も持ち歩きたくないほど重く頑丈な三脚です。

ただ、写真用で大型・頑丈といっても天体用としてはようやくまぁ使えなくはないんじゃない?という程度の代物だということも、今まで写真関係しか知らなかった僕には驚きでした。確かに写真では600くらいから超望遠、800mmともなると生半可な脚と雲台では構図を決めることも困難になります。天体望遠鏡は楽にその倍の焦点距離がありますから先ず脚を固めないと話にもならないというのを実感します。

わかったつもりでいてもまだまだ知らないことが多いのだなぁと、実感してみて驚くのと同時に、知らないことを知ることは対策や比較も含めて楽しく嬉しくなります。

 

さて、たまたま頑丈だからとこの三脚を使っての大発見がありました。それは

「観望上下位置をエレベーターで可変できることは非常に便利」

ということです。これは本当に姿勢や腰などに優しく、長時間見続けるのに自分にとって一番良い姿勢角度を保つことができるというがどれほど大切かということに気づかせてくれました。いくらよく見えても、少々アクロバチックな格好を強いられたり、半ばスクワットな格好では、数十秒は嬉しさと根性で我慢できても、分~時間単位での連続観望をしていると身体の方が先に参ってしまいます。

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これに加えて、家で使っている普通の3段式の脚立が、ウルトラスーパー安定観望を促進してくれることにも気付きました。

高倍率では安定を最優先したいのでエレベーターは基本一番低くして観測したほうが良いだろうと信じてそれに従っていましたが、試しに一番高くしてみると、思っていたほど揺れないのです。というか、最下点とさほどの違いが感じられません。なので脚立の最上部に肘をついて身体を安定させて、そしてその姿勢のまま眼の位置に望遠鏡のアイピース位置が適切になるようエレベーターで調節します。つまり赤道儀や望遠鏡の方を動かして自身の眼の位置に誘導してしまうのです。これがものすごく楽で長時間観望が一気にできるようになりました。

木星や月はキレイな模様、クレーター、全貌を何分でもずーっと見ていられるようになります。決して豊富とはいえないアイピースをあれこれ取り替えて見え味の比較などをして自己満足に浸るのも楽しく、1時間などはあっという間に過ぎてしまうほどです。

このように姿勢安定化がどれほど観望を楽にしてくれるかというのは、経験してみないとおそらくイメージすらできないと思います。それほど僕自身にとって激変ともいえる嬉しい大発見であったからです。

もしアクロマートの900mmくらいの初心者向けの望遠鏡セットを買って、ほんの数分見ては姿勢がしんどくなって撤収している観望スタイルをしているのであれば、こういう姿勢安定化の工夫を一度試してみる価値は十分あります。ずーっと立ったままや中腰で観望していればすぐに疲れてしまいますが、でもそれが最初はわからない、そんなものだと自己納得してしまっていたりします。僕がそうでした。

楽しみにしていたのに観望中、急に強烈な疲労感がやってきて他の天体を探す気力もわかなくなってくる。。仕事をして帰ってきてからの観望だとそういうことになりがちなことは無いですか?もしそれでせっかく買った望遠鏡を出さなくなるのはすごくもったいないことです。

姿勢の可変と適正安定姿勢を試してみて「あ!ものすごい楽だ!」と感じることができれば、星を見る時間がどんどん増えていくだろうし、プラス向きの観望エネルギーが一気に増していくことでしょう。

当然光学系機材投資ではないので望遠鏡性能は今以上アップしませんが、とても単純だったり、ちょっとした工夫で現状の環境をよりよくするだけで観望がもっと楽になり楽しくなる。こういうこともスキルアップの一つでしょうし、楽しみのひとつであるかと思います。

ももし、わざわざこの為だけに脚立を買うのであれば、脚立ではなくリリーチェアで検索して検討したほうが良いかもしれません。要は自在に座面高さを調整できる椅子が家にあれば、ピアノの椅子でもドラムのスローンでもなんでも良いのです。もちろん天体ショプでは観望用チェアがラインナップされています。とりあえずは手元で使えるものを使ってみるのが良いかと思います。