なにわのアルゴ座

星見が好きな大阪のおっちゃんのブログです

AZGTI 修理2 いらんことしてくれるなよ... 自力解決

---その2---

 

修理に出したら逆におかしくなって帰ってきてしまったAZGTIだが、保証期間というのがこれまたややこしい。自分で開けたらもう多分それで保証がなくなっちゃうかもしれない。

しかし名だたる天文機材の専門店にお願いしての結果がこの有り様だから・・・

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開けた。

先人の猛者達が赤道儀化したり強化したりするのに分解画像と説明記事を書いてくれてたのである程度の構造がわかったし感謝(予習)。

で、先ずは現物、じーっと観察する。

ウォームギアを回すモーターはアッセンブリーになってて、どうやら同じものをひっくり返して使っているのかな。もしそうじゃなくとも同じ構造の回転装置が2個あることで、水平と垂直で平ギアの遊び具合などは同じがフツーだろう。

前から何の問題もない垂直は派手なギアの遊びがある(右側の平ギア)。

で、水平は・・・ え? ガタ0(笑)なんでだw おい。

こんなにキツキツにしたらギアぶっ壊れるじゃねーかぁぁあ!

 

ということでアホな症状はわかった、ココだ。

でもここはアッセンブリなのでギアの調整などなかなかできないはず、、。

で、次は何故そーなったか(そーしたか)の究明にかかる。

 

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仕組みを理解しながらバラしていく。エンコーダーのローターを外したらここまできた。で、噴食しそうになった。原因がわかった。

こりゃ人災だ

1枚目の写真のAとBがモーターアッセンブリの固定ネジで、Bはカッチリ締めるんだが締めてもそこを軸としてハウジング反対側が摺動・可動するようになっている。で、Aのネジ、ここがセルフロックナットになってる。テンションを微妙に調整して摺動しつつもスラストのガタが無いような位置でとめとくと、右側にテンションバネがハウジング内のウォームギアを常にウォームホイールに一定圧で押し当ててくれるという仕組みなのかな。言わばオートテンショナーか。合ってるのかどうかわからんがそうじゃないと各部品の意味が無い。

で、修理完了と帰ってきたときは「A」のロックナットがカッチカチに締め上げられていた。ハウジング(ウォームギアが入っている)はウォームホイールに思いっきり近づけたうえでのロックナット締め付けと推察。「ギアの隙間を少なく調整しておきました」という修理後の説明の箇所がおそらくココだろう。

あのさ、、ベクトルめちゃめちゃアサッテじゃねーか?!w

 

現状は人力で過剰にギアが押さえつけられ、しかもバネの存在と摺動を殺してしまうようなことをしてくれており、おそらくモーターハウジング内でも歪による変なテンションがかかり平ギアにもガタが確認できないミチミチ状態になった。

と推測し視界内のカクカク追尾像の発生原因を納得した。

もちろんとっとと正常な状態に戻した。

 

通常はバネのテンションだけで押し付けられてウォーム関係の正常のクリアランス・面圧が正常というのはスカイメモSでも見られた構造(テンショナーの仕組みは違うが)。ただし、AZGTIのバネのテンションがとても弱い、指先でクッとしただけでカパー!っと動いてしまう。これでいいのだろうかと心配になる。水平側は修理に出して人の手が加わってしまったのでデフォルトがわからないが、垂直側がそういう状態なのでおそらく水平側のテンションも同じだろうと想像。

ちなみに垂直側、アリミゾ左に見て接眼部を下に力を加えれば、少しの力で急に「カクゥ!」と一気にMAXまで動いてしまい、力を抜くとシュポンと元に位置に戻る。これがハウジングの摺動域。その時はもうウォームギアウォームホイールはかなり離れてしまっている(垂直側の方がハウジング移動量が大きい) 赤道儀化した人たちはうまくこなしているようだがアンバランスになった場合に大丈夫かなぁと心配になったりする。。

 

まぁとにかく、初めて開けた素人が1時間足らずでこれくらいまでは構造を理解し調整(そもそもオートテンションなので調整できないんだけどw)ができる。修理に2週間、、、何をされていたのだろう。また、頼んでもいない箇所を壊すベクトルでわざわざいじってくれるサービスは過剰であり改悪。

 

金払った客の機材壊すような時限タイマー設置してはいけない。このまま疑問も抱かず使ってたらウォームもカジリまくってガタガタに、平ギアもたぶんパーになっただろう。

これは修理ではない。破壊だ。

 

実に恥ずかしく客に対して全然誠実じゃない。非常に落胆させてくれるし店のレベルはこれで判断してしまう。たまたまアンラッキーな1件かもしれないが、客にとってはいい迷惑。店にとっては顧客一人などはワンノブゼムでも、客からすればオンリーワンの機材で全国でも数えるほどの天文系のお店。問答無用ではなから屋号を信じるとこから始まる。その信頼をひっくり返すこの一件。なにもできない、なにもわからない子供や初心者(僕もだけど)だったら...と考えるとやはりこの行為には仕事に対する誠実さは残念なことに1ミリも感じられない。

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さて、当初の直してほしかった故障箇所であるロック時のガタガタ。

この水平軸ロックに関してはウォーム系のギアなんか一切関係がない。(だからいじるなという意味をこめてGOTO正常だよ、って書いたんだ、汲み取れない情けなさよ...)

関係してるのは水平軸のカニ目があるロックナットの締め付け具合だろう。ここがどうも構造的に「なんでこんなややこしい構造にしてんのか」全く合点がいかない。

ロックナットの合いマークは帰ってきたときの位置がここ、製造初期位置ではない。ちょっと締めすぎっぽかったので少しだけテンションを抜いてみたときの写真。

各部の座りをグリグリあだこだして具合良くし、さらに何度か締めては緩めを繰り返した後に仮ロック。合いマークよりも角度にすればやはり10度か15度ほど緩めた位置でロックしたら最終的に良い具合となった。

でもここは精度の粗さから個体によっててんでバラバラな感じだろう。どこの位置が良いかはもう指先の感覚と、とりあえずココと決めていっぺん組み上げてみてから、更に締めるか緩めるか、判断するという超アバウト精度。さすが中華。ネームと性能があがっているのに昔からの制作者の向上心は少しも向上していないのがよくわかる。たぶんこの先10年20年たっても同じような程度のものを疑問にも思わず作り続けるんだろう。(アイデアやグッチャグチャでも製品化するエネルギーは素晴らしいので勿体ない)

 

で、ロックナットをロックする(ややこしいw)1.5のイモネジが180度対角で2個あるのだが、これもまたネジ山に直接グリリと締め上げるスパルタンな構造(やめてほしい、スリ割りロックとか色々あるだろに)。コレはできれば締めたくないがこれを論理的に2個とも同じテンション(深さ)で締めると途端に回転摺動がめちゃくちゃ悪くなるという気持ちの悪いガタガタ精度なので、イモネジを締める前と同じ程度の回転摺動抵抗と感じられるどちらか一方だけをロックイモネジとして、もう一方は緩まない程度のテンションで軽めのロックタイト(青とか)でとめておくのが良い結果になった。(実際やってる時間は短いのだが字で書くとめっちゃ長い)

 

AZGTIは安価で内容とアイデアは素晴らしく実際でも大活躍でありがたいのだが、スカイウォッチャーの機械はどうも内部精度が毎度お粗末で、再現性に欠ける為に実に調整がめんどくさい。構造が同じでも日本製の精度だったら1/5の時間で済むだろうし、何度組み直しても同じ位置でピター!と完璧に調子が再現できるはずだ。

 

 

しかしこんな面白く便利でお気楽GOTO経緯台を出してしまうのは驚異でもあり、どこかキチンとした内部を作る日本企業とタッグを組んでくれないかなぁーって叶わないだろう願いを思ってしまう。

 

とにかく、AZGTIは保証期間なのに他人の手でアホ化し、自分の手で快調になり、僕は都合約1ヶ月弱をただ無駄に過ごしたということだ。実にアホみたいだがまぁこれも教訓。

しかし直せない店というのは実に困ったもんだ。商売というのは金を儲ける為にやってはいるがその金ってのは3の次で結果についてくるもの。一番大切なのは1も2もなく信用と信頼。モノを売るだけでなくその後の実績などを積み重ねていくのが古代からの当たり前。今はそういう意識すら変わってきているのかもしれない。